予想以上の社内変化が起きた! 複業人材と進める製造業の営業改革

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・プロジェクト概要
「誠実な仕事の積み重ねが、安定した受注に繋がる」
長く製造業を支えてきたこの考え方は、今も大切にされる一方で、市場環境の変化とともに課題も見え始めています。既存顧客との関係を守りながら、新規顧客とどう出会うか。そんな課題に直面している企業は多いのではないでしょうか。
京都府宇治市で航空機器・自動車部品の切削加工・組立を行う 株式会社名高精工所様もまた、展示会中心の営業手法に課題を感じていました。新規顧客開拓を模索する中で出会ったのが、複業人材としてデジタルマーケティングを専門とする 田中成美 さんです。
「Webサイトは365日24時間働いてくれる営業ツール。」
田中さんのその言葉をきっかけに、「デジタルマーケティング」を用いた営業へと舵をきった同社。営業手法の転換は、成果だけでなく、人と組織にどのような変化をもたらしたのでしょうか。名高社長と田中さんに、そのプロセスを伺いました。
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プロジェクトについて
- [テーマ]
まちタレさんの伴走で製造業、未経験から始めたデジタルマーケティング
-デジタルマーケティング
-未経験からのスタート
-社内人材の育成- [メンバー]
株式会社 名高精工所 × 田中成美
田中成美|株式会社アスタネ代表取締役
関連URL:老舗企業と20代デジタルマーケターの思いが一致した。- [背景]
・既存顧客に支えられてきた一方、時代の変化とともに新規顧客開拓の必要性を感じていた。
・展示会出展を中心とした営業に限界を感じ、営業力の弱さを自社の課題として認識していた。

新規顧客開拓への課題感と、複業人材との出会い
正直に言うと、これまでは営業にそこまで力を入れなくても大丈夫でした。既存のお取引先様に恵まれていたことや、会長の代から築いてきた信頼のおかげで、声をかけていただける状況が続いていたんです。
ただ、時代の流れとともに製造業を取り巻く環境も変わってきて。新規顧客を開拓しないとこの先は厳しい…。そんな危機感を持つようになりました。
従来の新規案件受注の流れは、展示会に出展して、名刺交換をし、その後こちらから営業をかけるというやり方が中心でしたが、1回の展示会出展で費用が100万円以上かかることもありますし、必ず成果に繋がるわけでもない。”営業力の弱さ”というのは、自社の課題としてずっと感じていました。

そんな時に、京都信用金庫の営業担当の方から「複業人材活用に関するセミナーがあるので参加してみませんか?」と声を掛けていただいたんです。その当時は、複業人材を探していたわけではなかったのですが、せっかく声をかけていただいたので、軽い気持ちで参加しました。
ーそのセミナーで登壇されていたお1人が、複業人材の田中成美さんだったのですね。
そうです。「Webサイトは365日24時間、世界に向けて営業してくれる」という田中さんの言葉に衝撃を受けました!これまで展示会や訪問といった“攻めの営業”しか知らなかったので、”待ちの営業”という発想が新鮮でした。また老舗和菓子屋さんなどの事例から実力も持っておられ信頼できる方で、自社の課題にも合っていると直感的に思い、セミナーの後の懇親会ですぐに「自社のサポートをしてもらえませんか?」と声を掛けました。
とても印象に残っているのが、名高社長のスピード感です。社長に懇親会でお声がけいただいた時、これはすべての企業さんにお願いしていることなのですが、「他の業務と兼任で良いので、社内担当者を決めていただくこと」「デジタル活用に慣れていただくためにも、基本はオンラインで進行すること」この2つのお願いに了承をいただき、社内調整をいただけたら、サポートが可能ですとお伝えしました。するとその2、3日後に社長直々に「社内調整できたので、ぜひ来ていただきたい」とお電話をいただきました。
電話の後、すぐに田中さんに弊社までお越しいただき、デジタルマーケティングの伴走について説明を受け、その1ヶ月後にはミーティングが始まって、プロジェクトが動き出しました。

デジタルマーケティングは全員素人。だからこそまずは土台づくりから
-プロジェクトはどんな形で進められたのですか?
プロジェクトメンバーに限らず、社員はみんなデジタルマーケティングについては全くの素人。ただ田中さんはいきなり「SEOを意識したブログを書きましょう」などとは言われませんでした。
ムリなことするのって、疲れるし嫌じゃないですか(笑)
勉強しなさいと言われれば言われるほど、勉強したくなくなるのと同じで。だから私がまずお伝えしたのは、みなさんの様子を見ながら”ステップを用意すること”。この課題なら、少し頑張ったら登れそうだなと思えるステップを用意し、クリアできたら次へ、というようにデジタルマーケティングのスキルをレクチャーさせていただきました。
コンサルティングではなく伴走者なので、皆さんと一緒に汗をかきながら取り組むことが大切だと思っています。
ーただ知識やスキルを詰め込むのではなく、自分たちで考えられる土台を作られたのですね。
最終的には社内の皆さんが自発的に考えて動ける状態、いわゆる自走を目指していたので、そのための土台が必要だと思ったんです。ただ単にデジタルマーケティングのスキルを身につけるのではなく、自社の目指す方向性やビジョン、ターゲットの設定、そのターゲットはどんな情報を欲しているだろうなど。社内で何度も話し合い、言葉にしてもらいました。
また、広報担当者というのは、社長の考えを代弁できる人だと思っています。プロジェクトメンバーが単なる作業者ではなく、社長と同じ方向を向いて動ける人になってもらえたら、という意識で進めました。
この1年半で、社員同士で話す時間は本当に増えました。土台作りは本当に丁寧にやっていただき、半年ほど時間をかけてもらいました。
ープロジェクトを進めるうえで、印象深かったことはありますか?
プロジェクトは月2回のオンラインミーティングで進められ、毎回課題が出されます。オンラインでもチェックインをして、和やかにミーティングは始まるのですが、出来ていない課題があると“なぜできなかったのか”をきっちり振り返る。
曖昧にせず「ここは絶対に外せない」というポイントは、ズバッと厳しく言っていただくことも何度もありましたが、社内からの反発は無かったです。メンバーも田中さんのことをとても慕っていて、知識だけでなく、考え方や向き合い方を教えてもらった、という感覚が強かったと思います。

ホームページからの問い合わせアップと、社員の成長
成果として分かりやすいのは、ホームページからの問い合わせです。プロジェクト開始前はゼロだったホームページからの問い合わせが、この約1年で月1回程度、安定して問い合わせが来るようになりました。新規受注にもつながっています。でも、それ以上に大きい成果と感じているのは、社員の成長です。」
現在(2025年12月)、ホームページのリニューアルを進めており、もうすぐ完成となります。そんな中、社員から「僕らの強みって、なんだろう」という議論が始まってね。そして「こんな図を考えたので、ホームページに入れたい」と言ってくれたのです。以前なら、「こんなこと言っていいのかな…」と遠慮していた社員が、自分たちから制作会社さんに提案するようになったんです。
また、打ち合わせの中でも制作会社さんに対して「これってどういう意味ですか?」と社員から質問が出たり、専門用語の意味を共有しながら話ができるようになりました。もちろん、制作会社さんと同等の知識をとはいかないのですが、基本的な知識を理解しているからこそ、健全に意見交換ができるようになりました。
本当に大きな成長ですよね。私も見ていて感動しました。
ー本件のプロジェクトリーダーとして社内をまとめてきた奥田さんは、この変化はどのように感じられますか?
デジタルマーケティングについて、本当に何も知らないところからのスタートでした。田中さんに教わる中で大きかったのは、『自分たちが売りたいところ』と『お客さんが欲しい情報(検索すること)』は違う点に気づけたことです。
これまでは『売りたい』が先にあったんですが、まずはお客さんに検索してもらい、見つけてもらわないと始まらない。情報コンテンツやブログ、ホームページを作る時も、その点を意識するようになりました。

また、デジタルマーケティングチームができたことで、チーム内の会話はすごく増えましたし、ホームページを作る過程で、現場で働いている社員に話を聞く機会も増えました。現場の知識や情報がないと、良いコンテンツは作れません。そういう意味で、社内コミュニケーションは以前より、かなり活発になったと感じています。
ー田中さんに入ってもらって、よかったと感じる点はどんなところですか?
デジタルマーケティングって、基本が押さえられていないと本当に難しくって。その“基本”を丁寧に教えてもらえたのがありがたかったですね。あと田中さんはできていないところを結構ズバッと言われるんですけど(笑)、そのおかげでちゃんと学びや成果に繋ががったなと思います。
ー経営者の視点から、改めて、田中さんに入っていただいて良かったと感じる点はありますか?
ホームページのリニューアルでは、田中さんにはセカンドオピニオンのような立場で制作会社さんとの打ち合わせにも関わっていただき、とても安心して進められました。
良いデザインのWebサイトが、必ずしも検索に強く、問い合わせに繋がるWebサイトとは限りません。いわゆる、SEO対策だったり、Webマーケティングという視点がないと、集客に繋がりにくいです。
今回は、集客や売り上げに貢献できるWebサイトにするためにはどうしたらいいか、という視点で意見をお伝えする役割だったのかなと思っています。
柔軟さとスピード感が、プロジェクト成功の秘訣
-本来の目的である問い合わせ数の向上、新規顧客からの受注増加だけでなく、社員さんの成長にも繋がり、デジタルマーケティングの内製化も進んでおられるように感じます。このプロジェクトがこんな風にうまく進んでいる、成功している要因は何だと思いますか?
やっぱり、皆さんのスピード感と、前向きさです。
デジタルマーケティングというのは、トライ&エラーを繰り返して進めていくことになるので、スピード感と行動力がとても大事になります。なので、当初から社長が率先して動いてくださったので、とてもいい状態でプロジェクトが進行するだろうと思っていました。
また、名高精工所さんの会社の風土も大きな成功要因だと感じています。外部人材である私も安心して話ができる、話を聞いてもらえる。皆さんが普段から醸成されている良い雰囲気が、チーム力やスピード感に繋がっていたのかなと思います。

編集後記
名高精工所様にとって、今回のプロジェクトは単なるWebサイトの改善ではありませんでした。
Webサイトからの問い合わせ増加という成果に加え、Webの営業戦略を自分たちで考え、実行できる力を持つ人材育成という、デジタルマーケティングの内製化の道を確実に進まれています。
複業人材活用の成功の道筋には、企業と複業人材それぞれがお互いを尊重し、信頼関係を結ぶことがとても重要だということを、今回の事例は示しているのではないでしょうか。
※記載内容はインタビュー当時のものです。
