老舗企業と20代デジタルマーケターの思いが一致した。

2021.12.20 柴田 明/まちのタレント(複業人材)

「相談する相手がいなくて不安でした」

「独学でマーケティングを頑張っている方のお手伝いがしたかったんです」

半年前には他人同士だったお二人が顔を見合わせて微笑む姿を見て、このような出会いをもっと増やしていきたいとしみじみ感じました。和菓子の老舗である株式会社豆政さんからSNS運用のお悩みをお聞きして始まった、まちのタレントバンクとの6ヶ月間のプロジェクトをご紹介します。

プロジェクト期間も残すところ1ヶ月となった11月末。まちのタレント(複業人材)の田中さんと一緒に豆政さんを訪問し、代表取締役社長 角田 潤哉さん、ご担当者の森脇さんにお話を伺いました。

プロジェクトについて

[テーマ]

「歴史ある和菓子の魅力を広めたい」

・SNSの運用サポート / データ分析

・デジタルマーケティング

[メンバー]

株式会社豆政 × 田中 成美

 田中 成美|株式会社ナオミ マーケティング部 マネージャー

[背景]

会社のInstagramをどう運用すればいいのかわからない

・社内にwebに長けた人材がいない

・担当者は1人で総務の仕事と兼任している

自分が苦労した経験から、中小企業のマーケティングを手伝いたいと思うように。

── 豆菓子のいい香りがしますね。まずは、このプロジェクトにご参加いただいた理由を教えていただけますか?

角田社長

4年程前から豆政のInstagramを始めたのですが、何をどうしたらいいのか全然わからなくて困っていました。森脇が頑張って更新してくれてはいたのですが、フォロワーもなかなか増えず。何社か専門の業者に問い合わせをして、話を聞かせてもらいました。しかし、どうもしっくりこなくて契約できずにいたんです。

森脇

社内では私が一番ネットに詳しいだろうということで担当に任命されました。でも、SNSを使ったこともなかったですし……同僚から何か聞かれても正解がわからないんです。そんな時に田中さんが来てくださって、とても心強いです。

角田社長

田中さんと初めてお話しした時から、なんとかしてあげたいと思ってくださっていることが伝わってきました。この人なら私たちに合うやり方で教えてくれるやろうと思い、お願いすることを決めました。

田中

そう言っていただけて嬉しいです。私自身も、ナオミという充填機を製造販売する会社でマーケティング部を1人で立ち上げたので、森脇さんのお気持ちはよくわかります。上司も教えてくれる人もいなくて、当時は本当に大変でした。独学で毎日勉強して、3年かけてやっと結果が出るようになって。

── ご自身の経験が、今の複業につながっているんですね。

田中

はい。ようやくお問い合わせが増えて成果が売上としても見えるようになってくると、このノウハウを自社だけに留めておくのはもったいないと思うようになりました。広報やwebの担当者が1人しかいない中小企業って、きっとたくさんありますよね。昔の私のように辛い思いをしている人も少なくないはずです。その人たちの助けになれるかもしれないと考え、会社に副業制度ができたことをきっかけに、今年の春から複業としてマーケティングのお手伝いを始めました。

森脇

田中さんは、知らないことだらけの私にペースを合わせて、二人三脚で一緒に進んでくださいます。何かあれば田中さんに聞けば大丈夫だと思えるようになり、心に余裕ができました。不安な時に「わかります」って言ってもらえることがすごくありがたいですね。いつもやわらかい雰囲気で接してくださるので、迷った時はすぐに相談させてもらっています。

田中

森脇さんも角田社長も、試行錯誤しながらとても真剣に取り組んでくださっています。正直、驚きました。作業をこちらに丸投げするのではなく、一生懸命SNSの運用に取り組んでくださり、何かアドバイスしたら素直に実践してくださるので、どんどん前に進んでいけます。新しい発見があったり、良い反応があったり、その度に一緒に喜びながら次のステップを考えていけるので、私もやりがいがあります。

角田社長

確信が持てない時でも、田中さんが背中を押してくださるので。こちらの状況もわかった上で無理なく続けられるスケジュールを組んでいただいているので、安心して挑戦できます。

森脇

だんだん社内でもSNSを応援してくれる人が増えてきました。営業の方が催事の写真を送ってくれたり、気にかけてもらえるようになってきて。最初は1人で全てやらないといけなくてプレッシャーしかなかったんですけど、続けてきてよかったと思えるようになりました。

事務作業で扱う数字から、その背景で起こっていることを考えるようになった。

── 活動される中で、ご自身の中に新しい発見はありましたか?

森脇

経理などの事務をする時に、数字の見え方が変わりました。SNSを始める前はただの数値でしかなかったものが、「この商品、今月なんでこんなに売れたんやろう?」とか、その背景を考えるようになったんです。あとは、他社さんのSNSを見て、色々な企画や取組に気づくようになったり。商品を届けるために、皆さん様々な工夫をされていますよね。今までは知らなかったことばかりです。出かけた先の場所や風景も、つい撮影目線で見てしまいます。いい写真が撮れるとやっぱり嬉しいので。

角田社長

田中さんは先生でありながら、1人のお客さんとしての目線からも色々なことを教えてくれます。森脇との接し方が、仲の良い同僚みたいな距離感なんですよ。そういう関係性だからこそ、会話の中で色んなことに気づかせてもらえるんでしょうね。私も、今回の取組を通して多様な生活圏があることを実感しました。なんでもSNSから情報を得る人もいるし、買い物は店舗でしかしない人もいる。昔はだいたい消費行動のパターンが決まっていたけれど、今はかなり細分化していますよね。

田中

私は、今回のように経営者・担当者・私の3名が一緒に動くのが一番いいバランスだと確信しました。担当の方がどれだけ頑張っても、経営陣の協力がないとマーケティングはうまくいきません。色々な企業のサポートをする中で、社内で理解を得ることの難しさにぶつかることが多くて……私自身もマーケティング部の立ち上げ当初、他部署の人に認めてもらうまでには時間がかかりました。角田社長は、月2回開催している勉強会に初回からずっと参加してくださっています。積極的にアイディアも出していただきありがとうございます。

角田社長

私も勉強しないといけませんから。ただ、私は経営者なので、どうしても売上に結びつけることを考えてしまいます。結果が出るまでには時間がかかりますと最初からお伝えいただいていましたし、今は耐えるしかないですね。

── まちのタレントバンクは企業と複業人材の双方に気づきや学びがあることを大事にしたいので、お三方それぞれに発見を聞かせていただけて嬉しいです!

人と人とのつながりの中で、業務が前に進んでいく。

── 田中さんから見て、豆政さんはどんな企業ですか?

田中

豆政さんをご紹介いただいてインターネットでの露出をリサーチした時に、一切ネガティブな情報が出てこなかったんです。面と向かっては言いにくいことも気軽に書けてしまう世界の中で、これはすごいことです。お客様に寄り添ってお商売を続けてこられた結果が、SNS上でも表れていました。責任重大だと思いましたね。それと同時に、もっと世の中に広まってほしい!と。

森脇

豆政を応援してくださる気持ちが伝わってくるので、それに応えたいと思って私も頑張れるんです。いつも本当に感謝しています。

角田社長

業務だけのつながりではなく、人同士のつながりを感じられるところがいいですね。京信人材バンクさんも、最初の紹介の時だけでなく動き出してからもずっと気にかけてくれていますし。

田中

京信人材バンクさんが真ん中にいてくださることでやっぱり安心感がありますし、複業初心者でも働きやすい環境を整えていただいています。いいものを作っておられるのに、デジタル化の波についていけず苦労されている企業がまだまだたくさんあると思うので、今後もまた良いご縁があると嬉しいです。

 

聞き手:矢野 凌祐・新田 廉(京信人材バンク 共同代表)
文・写真:柴田 明/まちのタレント(複業人材)

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