新部署のメンバーがまちのタレントさんと共に歩んだブランディングの基盤づくり

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・プロジェクト概要
“これでいいのかな?” “私の仕事の方向性、これで合ってる?”
新しい仕事を任された時、こんな思いを抱えた経験のある方は多いのではないでしょうか。
今回ご紹介する株式会社大興製作所さんでも、ブランディングを担う部署の設立当初は「これから社内外にどうやって発信していけばいいのか…」という不安があったそうです。そんな中、複業人材であるまちのタレントさんと出会い、新規プロジェクトを進めるにつれて、気持ちに変化が見えてきたようです。
今回は、大興製作所のSP・ブランド戦略室(SP=StandardProduct)の皆さんと、このプロジェクトに参画されたまちのタレントの辻本さんにお話を伺いました。
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プロジェクトについて
- [テーマ]
新部署のメンバーがまちのタレントさんと共に歩んだブランディングの基盤づくり
・プロジェクト内容
―部内に広報やブランディングについて詳しい人ゼロ
―情報をビジョンマップに整理
―組織の成長- [メンバー]
株式会社大興製作所 SP・ブランド戦略室 × 辻本 テツオさん
辻本 テツオさん|ブランディングプロデューサー/PRSJ認定PRプランナー- [背景]
1952年創業、石英ガラス製品を中核とした産業装置の部品製造と、大学・企業との共同研究を事業の軸とする同社。
創業72年目の2024年春、全社のブランディングを担うSP・ブランド戦略室が立ち上がるも‥‥
・部署の立ち上げ時、広報やブランディングに精通した社内人材がいない
・自主的に勉強を続け、ブランディングとは何かを模索していたが、途中行き詰まりを感じる
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チャレンジしたい。でも、どうしたら?ブランドづくりの第一歩。
―このプロジェクトが始まったきっかけと、協業をされて、どんなことが生まれたのかを教えていただけますか?
数年前に、別の複業人材の方と一緒に「大興製作所ってどんな会社か?」というディスカッションをしたことがありました。そのとき人材バンクさんとご縁ができたんです。その後、新しい取り組みとして昨年春にSP・ブランド戦略室が立ち上がりました。でも部内にはブランディングに詳しい人がいなくて……。最初はみんなで手探りで頑張ったのですが、途中から「ここから先は誰かプロに相談した方がいい」と感じるようになりました。そこで「人材バンクさんに聞いてみようか」となったんです。
辻本さんと初めてお会いしたのは座談会のときですね。何人かの複業人材の方とお話した中で、辻本さんは「こういう方向で考えるといいですよ」と明確に言ってくださいました。その明快さが心強く、「この方にお願いしたいな」と思いました。
ありがとうございます。お話を伺いながら、どうすれば皆さんの想いが形になっていくのか、自然と見えてきたのを覚えています。僕は広告業界出身で、現在はプロデューサーとして企業や自治体のブランディング・PR支援をしていますが、常に意識しているのは「方法よりも、その会社が本当に伝えたいことは何か」ということです。皆さんも自分たちの言葉で会社の“根っこ”を見つめようとしているのが伝わってきて、「僕が力になれることがある」と感じました。
正直、最初は「ブランディングってHPを新しくすることかな?」くらいに思っていたんですよ(笑)。でも「じゃあこれから私たちは何をして、HPにどんな内容を載せるのか?」「そもそも私たちの強みって何だろう?」と考えていくうちに、ただ見た目を整えるだけじゃ意味がないなって気づいて。
皆さんがお持ちだった情報はとても豊富で、会社の「何を伝えたいか」を見出す手がかりがたくさんありました。社員インタビューや顧客分析の内容もあり、これならきっと形にできると思ったんです。そこでまずは、それらをもとに情報を「ミッション・ビジョン・バリュー」として整理して、視覚的にわかりやすい「ビジョンマップ」として表現することを提案しました。
そうですね。以前のディスカッションで出てきた意見など、社内にある“素材”が、辻本さんと話を重ねるうちにどんどん整理されていきましたね。「ブランディングってこういうふうに考えればいいのかもしれない」と、私にも少しずつその輪郭が見えてきました。

ビジョンマップが完成。気づきと共に成長し、「できること」が増えていく。
辻本さんの実務的なアドバイスのもと、バラバラだった情報をミッション・ビジョン・バリューとして言語化することができました。
進めていく中で足りない情報にも気づいて、社員インタビューをやり直したこともありましたね。
そうでしたね。辻本さんは単にフレーズを作るだけでなく、伝える順序や構成の考え方まで教えてくれました。一つの「ビジョンマップ」を作るという目標があったから、「次はどうしましょう?」と相談しながら進められたのが良かったと思います。
こうしてこの春、全社に向けた「ビジョンマップ」が完成しました。今は事務所の目立つ場所に掲示していて、私たちにとって大切な指針になっています。

―「ビジョンマップ」を発表した後、周囲からの反応やチーム内での変化はありましたか?
まだ日は浅いですが、私は社員の方から期待の声を感じますね。「これからどんなことをするの?」「ワークショップとかあるの?楽しみです」といった声があります。
私は、HP制作の業者の方とやり取りしている中で、これ、答えられないな、と思う質問が出てきたんです…。意外と会社のことを知らなかったんだなと実感しました。
私も、社外の方に会社の方針を伝えることの難しさを感じています。これまでは商品の説明はしていましたが、ミッションやビジョンまではなかなか言葉にできていなくて……
辻本さんとも、「これからはビジョンマップで掲げたことを、社内・社外にどう発信していくか」が大事だと話しています。そこに向けて、チームが少しずつ成長している手応えがあります。特にHPについては、今は担当者に安心して任せられるようになりました。経験がないと何を基準に判断すればいいかわからないこともありますが、辻本さんが側にいてサポートしてくれるし、彼女たちが立ち止まっても「辻本さんに聞けば大丈夫」と思えるからです。
僕はいつも“一緒に汗をかく”ことを大切にしています。上からのアドバイスではなく、皆さんが自分の言葉で語れるようになるまで並走する。そうやって一歩ずつ積み上げていくことで、単に言葉を整えるのではなく、組織や事業そのものがしっかりしてくるんですよね。
もちろん、担当の方にとっては勉強することが多くなり、大変な面もあるとは思いますが…(笑)。でも担当したことにより、チームでできることが増え、視野が広がっていく…。そんな成長を、僕も一緒に感じられるのがすごくうれしいですね。
一人で頑張るより、二人の方が良い。頼り合うことで見える景色がある。
―ここまで振り返ってみて、辻本さんと一緒に取り組んで、改めて良かったと感じたのはどんなところでしたか?
私は「一人じゃない」って思えたことが良かったです。一人で悩むのと、辻本さんのような方と一緒に考えるのとでは、全然違うんですよね。まず、辻本さんに「これどうしましょう?」と気軽に相談できる安心感がありました。そして結論が出ないときも「なぜそうなるんだろう?」を一緒に考えてくれたので、私自身の理解も深まりました。
僕は悩みの根っこを聞くことを大切にしているので、そう言っていただけるのは本当にうれしいです。
やっぱり、一人じゃないってすごい。社歴が長くなるほど視点が固定されて、「普通」が分からなくなってくるんです。そんな中で、辻本さんのように違う視点を持った方が入ってくれると、新しい気づきや変化が生まれるなって実感します。一人で悶々と考えるより、違う意見を聞くことの大切さを改めて感じました。
僕がご一緒したいと思っていたのは、まさに須田さんのように、強い想いを持ちながらも、それをまだ十分に言葉にできていない方なんです。以前、別の方から「辻本さんと一緒にやるようになって、夜、眠れるようになりました」と言われたこともあって。
へぇ~!
それくらい、誰にも相談できずに抱えている悩みや課題って実はたくさんあると思うんです。
僕自身、そういった方々をサポートできる余地はまだまだあると感じていますし、漠然とした経営課題を抱えている方は、まず人材バンクさんに相談してみるのが良いと思いますね。人材バンクさんには本当にさまざまなスキルを持った方がいらっしゃるので、思ってもみなかった課題や、より良い解決策がきっと見つかると思います。
昨年は辻本さんと一緒にチームが成長できてよかったです。
これから私たちは「ビジョンマップ」を軸に、社内外に向けてやるべきことがたくさんありますね!
そうですね。皆さんの言葉で表現していくことが、社員お一人おひとりへ、そしてお取引先や地域へと伝わっていくはずです。これからが大変だと思いますが、一緒に頑張っていきましょう!
―お話を聞かせて頂き、ありがとうございました。これからの大興製作所の皆さんの発信を楽しみにしていますね!
