履歴書には表れないその人の魅力を伝え、人と企業をつなぐ。

2022.08.22 柴田 明/まちのタレント(複業人材)

「僕らがいなければ生まれなかった縁を、つなぐことができたのかもしれない」

約1年前、そんなことを思わせてくれた人たちがいました。営業職での再就職をあきらめかけていた49歳の木庭 肇(きば はじめ)さんと、若い人を採用したいと考えていた株式会社ナカデケイランの桑山 香里さん。木庭さんの営業にかける思いに心を打たれた私たちは、履歴書をかばんに入れ、少し緊張しながら桑山さんのもとへ向かったのです。

今回は、ひとつなぎマッチングの求職者担当 岩澤と企業担当 岡田が、久しぶりにナカデケイランさんを訪ねます。

人材紹介について

[ 求人内容 ]

企業名 :株式会社ナカデケイラン
ご担当者:代表取締役 桑山 香里さん
事業内容:鶏卵の卸売
募集職種:営業
ご要望 :20代後半〜30代前半の若い方を希望

[ 入社した方 ]

木庭 肇さん
前職:カメラ関係のルート営業
年齢:40代後半
ご要望:前職の経験を活かせる営業職

もう一度、営業で探してみませんか。

岩澤

もうすぐナカデケイランさんに入社されて1年が経ちますね。改めて、木庭さんの新しい名刺をいただいて、感慨深いというか……込み上げてくるものがあります。

木庭

早いもんですね。おかげさまでこの通り、元気に働かせてもらってます。岩澤さんに初めてお会いした時は、就職先がなかなか決まらなくて半ばあきらめかけてましたから。まず面接まで行かないし、たまに面接に呼んでもらえても全然決まらなくて。もう年齢も48でしたしね。あの時、ダメもとで求職サポートサービスに登録してほんまによかったです。

岩澤

新型コロナウイルスが出始めた頃で、就活も非常に動きづらい時期でしたね。木庭さんが面談に来てくださった時に、営業はなかなか厳しいから配送ドライバーの仕事も見始めているとおっしゃって。でも色々とお話を聞いて、あきらめるのはまだ早いと思ったんです。バイタリティがあるし、工夫しながら営業するのがお好きなのが伝わってきたので。木庭さんにはやっぱり、長年培ってこられた営業経験を活かせる仕事に就いていただきたいと。

木庭

新卒から28年間ずっとそのカメラ関係の会社にいたので、営業の仕事しか知らないんです。家電量販店の店頭販売の仕事なんかも、見てはいましたけどね。同じ業界で転職しようにも、時代の流れとコロナ禍の影響でどこも人を採る余裕はなさそうでした。

岩澤

ナカデケイランさんは社長が優しくてすごくアットホームな会社だと聞いていたので、木庭さんにきっと合うだろうと思いました。でも、同じ職種でも扱う商品が卵なので、仕事の内容はかなり違いますよね。最初は戸惑いもあったんじゃないでしょうか。

木庭

正直、お話を聞いた時は、どんな仕事なのか全く想像できませんでした。前職はたくさんある製品をどれだけ売れるかっていう仕事でしたけど、卵は違います。生鮮食品なので、今どのサイズがどれだけあるのかを把握して、販売数を調整せなあかんので。お客さんとの接し方も違いますね。スーパーや百貨店の人たちとのやり取りには過去の経験が役立ちますけど、パン屋さんやケーキ屋さんは職人気質なので、話の切り口を変えてみたり。

岩澤

確かに、自然のものならではの難しさがありそうです。

木庭

でもね、売るものが何であっても、営業の仕事って半分は人間関係やと思うんです。「どうですか?売れてますか?」って会いに行って、色んな話をして仲良くなって。そしたら何か手違いがあった時でも味方になってくれるし、こっちも多少の無理は聞けますし。持ちつ持たれつで、お互い助け合ってね。

ご希望よりも上の世代の方なのですが、一度会っていただけませんか。

岩澤

木庭さんがこうやっていきいきとお仕事の話をされていることがすごく嬉しいです。いい会社に入っていただけて、本当によかったです。桑山社長は、最初に木庭さんに会われた時はどんな印象でしたか?

桑山社長

だんだん1年前の記憶が蘇ってきました。岡田さんが木庭さんの履歴書を持ってきてくれましたよね。その写真がすっごく怖かったのを思い出しました!

木庭

えっ、そうなんですか?

岡田

あの写真は確かに、インパクトがありましたね(笑)

岡田

20代から30代の爽やかな若者に来てほしいとお聞きしていたので、ちょっと勇気のいるご紹介だったのですが……桑山社長ならきっと話を聞いてくださると思って。「メールじゃなくて直接会ってお話してきます!」と社内の皆に宣言して、履歴書をお持ちしたんです。一度会ってみますと言っていただいて、すごくほっとしました。

桑山社長

京信さんには、鈴木さん(東山支店 営業担当)にもいつも良くしていただいてますから。それに、同じ会社でずっと頑張ってこられたというところに好感が持てました。うちでも長く働いてほしいので。会ってみたらこの通りよう喋らはるし、写真とは全く印象が違いましたね。

岡田

内定通知を出す際に、桑山社長が求人票の条件よりも良い給与を提示してくださって、感動しました。木庭さんの営業職での実績を加味して、営業手当を追加していただいて。

桑山社長

そうでしたね。まぁ、採用は賭けでしたけどね。鈴木さんが言うなら信じてみようかなって。京信さんは今もうちの新しいロゴを芸大の学生さんと一緒に作ってくれてますし、色んなおもしろい取組をされていますよね。

岡田

ロゴの案、拝見しました。どれも素敵で楽しみですね!桑山社長はいつも会社の状況やご自身の思いをていねいに私たちに伝えてくださるので、私としても合う方を採用してもらいたいという思いが強くありました。木庭さんがいきいきと働かれている姿を見ることができて、本当に幸せです。

信用で商売が成り立っている京都で、どう事業を伸ばしていけるか。

桑山社長

木庭さんは前任の方が辞めた後に入ってくれたので、引き継ぎもなくて大変でしたね。仕入れ担当から卵のことを学びながら、配達が追いつかない時はそっちも手伝いながら。会社も色々あって、この1年はあまり上手く回ってなかったんです。ここからですね、右肩上がりで頑張っていかなやね。皆の働く環境ももっと良くしていけたらと思います。

木庭

こんなこと言ったら怒られるかもしれませんけど、この1年は自分も目の前のことで手一杯やったんで……どうやって売上を伸ばして、ちゃんと利益を出していくのか、次の1年で考えていかないといけません。エサ代や輸送費が高騰したり、コロナ禍で飲食店さんが厳しい状況やったりと、難しい面も多いんですけど。

桑山社長

今日も運送会社さんと喋ってたんです。単にコスト削減して利益を出そうっていう発想じゃなくて、お互いに良くなるように、上手いことできる方法を考えましょうって。京都では、高いから他の業者に変えるってことはあんまりないじゃないですか。信用で商売が成り立っているまちなので、その中でどう成長していけるかは自分たち次第ですよね。ありがたいことに、新しいお客さまからの問い合わせはけっこうあるもんね。

木庭

そうですね。あとはコロナ禍が早くおさまって、飲食店さんそれぞれにお客さんが戻ってきて、たくさん卵を使ってくれたらええなと思います。そうなったら、今度はスーパーが下がってくるのかもしれませんけど。

岩澤

木庭さん、もうすっかりこの業界の方ですね!頼もしいです。営業経験が長いからこそお客さまのイレギュラーな要望にも自然と対応されていて。やっぱり営業の仕事が合っておられるんだなと改めて感じました。

木庭

それがええことかどうかは、わかりませんけど。注文を間違えて、真っ青になって謝りに行ったこともありますし。まぁでも、うちにできることをやっていくしかないですね。

岡田

今日は本当にありがとうございました。お二人が一緒に働かれている姿を拝見して、胸が熱くなりました。私たちもがんばります!

文・写真:柴田 明/まちのタレント(複業人材)

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